どんな言語でも習得するには効率的な勉強の仕方があります。ベトナム語を習得する時には、何に重点を置いて、何から勉強すれば一番良いのでしょうか。
またベトナム語学習に必要なおすすめの教材とはどのようなものになるのでしょう。
本記事ではベトナム語を学んでみたいと思った時にまず考える疑問点に、ひとつひとつお答えしていきます。
ベトナム語はどこから習えばいい?
ベトナム語はまずどこから習えば良いのでしょうか。文法?リスニング?ライティング?その答えはベトナム語の特徴を抑えてから、検証した方が良さそうです。まずはベトナム語がどんな言語なのかを紐解いていきましょう。
ベトナム語って簡単?難しい?
ベトナム語は日本人にとって、ある部分はとても難しく、ある部分は簡単な言語です。
総合的には「ちょっと」もしくは「結構」難しいといった感じでしょうか。簡単な言語とは絶対に言えません。
ベトナム語は世界的に見ても難しい言語と言われています。英語のネイティブスピーカーが難しいと考える語学として、中国語やアラビア語に次いでベトナム語がランクインしています。
日本人にとっても優しいとは言えない言語であるベトナム語ですが、日本人にはベトナム語を学ぶ大きなアドバンテージがあります。それはベトナム語の一部の言葉は中国語の漢字がルーツとなっているからです。
同じアジア諸国として、同じルーツを持つ言語には共通点がたくさんあります。もちろんベトナム語オリジナルの言葉もあるため、新たに覚えなければならない事の方がもちろん多いのですが、それでも異なる国の異なる言語に共通点を見出せるのは、嬉しい事ですよね。
ベトナム語が簡単で難しい具体的な理由を見ていきましょう。
ベトナム語が簡単な理由その1「文法がフレキシブル」
ベトナム語が簡単だと言える1つ目の理由は、特に会話において、文法がフレキシブルで厳しくないところです。
例えば、日本語ではよく主語が抜けて話しをします。「その本持ってるよ!」というような感じです。ベトナム語でもこれがアリなのです。「Có sách này(コー サック ナイ)」このフレーズにおいて、主語はどこにもありません。英語で言うと「Have this book」 ですが、英語ではこのような話し方はしません。主語が必ず入ります。
また日本語や英語のように動詞が過去形や未来形に活用することがないので、あまり時制を気にせずに動詞を使うことができます。過去の話しなのか未来の話なのかは文脈で察してもらえたりと、文法に関しては寛容です。
ベトナム語が簡単な理由その2「日本語と似ている言葉がある」
ベトナム語が簡単だと思われる2つ目の理由は、ベトナム語の中にはたくさんの日本語に似ている言葉があるのです。厳密には似ていると言うよりも、同じ言葉を使っていると表現した方が良いかもしれません。
ベトナム語と日本語は同じ漢字をルーツにしていることが理由です。ベトナム語の実に6〜7割の言葉は漢字で表現できると言われています。これらの言葉は漢越語と言われています。
ベトナム語と日本語の共通の言語はこんなにもたくさんあります。一例を紹介します。
ベトナム語 | 読み方 | 漢字と意味(追加の意味) |
chú ý | チュー イー | 注意 |
lưu ý | ルウ イー | 留意 |
chuẩn bị | チュアン ビ | 準備 |
quốc ca | クオック カー | 国歌 |
kiểm tra | キエム チャー | 検査 |
đại sứ quán | ダイ スー クアン | 大使館 |
kết hôn | ケッ ホン | 結婚 |
đại học | ダイ ホック | 大学 |
cơm | コム | 米(ご飯) |
ca sĩ | カー シイ | 歌手 |
bác sĩ | バック シイ | 博士(医師) |
sai | サイ | 差異(違う) |
thiên nhiên | ティエン ニエン | 天然(自然) |
共通の言語を見つけられると、ベトナム語の勉強がもっと楽しくなってきます。
ベトナム語が難しい理由その1「発音が難しい」
ベトナム語が難しい理由の最初に上がってくるのが、発音が難しいという問題です。どんな外国語でも大体8歳くらいまでにその現地で言葉を学んでいないと、ネイティブの発音になるのは難しいと言われています。
ほとんどのベトナム語学習者が挫折する理由は発音問題です。ベトナム語を学習していくうちに、発音の壁にぶち当たり、こんなに複雑で難しい発音を今から習得するのは無理だ、と諦めてしまうのです。
確かにベトナム語には日本語には存在しない発音が、たくさんあります。これまで使った事のない口の筋肉を動かして、出した事のない発音をしなければならないのは本当に大変です。しかも文法と違ってベトナム人は発音にはとてもシビアです。
ただし、絶対に不可能な発音ではありません。発音は聞いてまねして練習するしかありませんが、発音さえ克服できれば、あとは難しいことはそんなにないでしょう。発音が大変ということを肝に据えて勉強を始めれば、他に怖いものは無くなります。
ベトナム語が難しい理由その2「同じスペルで意味が違う単語がいっぱい」
発音の次にあげられるベトナム語が難しい理由は、ベトナム語が同じスペルの言葉を色々な意味に流用していることです。
厳密には同じスペルといっても声調や発音記号の違いがあるので、全く同じとは言えません。でも英語のようにスペルだけが合っていても、声調や発音の記号の種類やつける場所が異なると、全く意味の違う言葉になってしまうのです。
言葉で説明してもわかりにくいので一体どいうことなのか、実際の言葉を見て確かめてみましょう。
例えばこちらは「thang」という同じスペルに対して、声調や発音の違いでこれだけ意味の異なる言葉があります。
単語 | 読み方 | 意味 |
thang | ターン | フロア、階、はしご、階段 |
thẳng | タアン | まっすぐ |
tháng | ターン⤴︎ | 月(1月、2月、3月…の月) |
thắng | タン⤴︎ | 勝つ |
同様に、camというスペルに対して様々な声調や発音記号がつくことにより、異なる意味の言葉となっています。
単語 | 読み方 | 意味 |
cam | カーム | オレンジ |
cầm | カーム(低く) | 掴む |
cấm | カム | 禁止する |
cảm | カアム | 風邪 |
これらはほんの一部です。ベトナム語の単語はこのような言葉が多いので、スペリングだけぼんやり覚えていてもダメです。発音したり書いたりする時に、声調や発音が全て正しくないと正解になりません。
ベトナム語を習うなら、まずは発音から!
ベトナム語を習うなら、まずは発音から始めましょう。文法を勉強する時に参考書を読むためにも、声調も含めた発音と共に一緒に覚えなければ意味がありません。
声調と発音記号を覚え忠実に再現するという、発音の練習だけで徹底的に3ヶ月くらいやってもいいくらい、発音は大切だということを覚えておきましょう。
独学でベトナム語を勉強するとしても発音だけはベトナム人の先生と一緒に学ぶことをおすすめします。
ベトナム語を独学で習うためのおすすめの教材
発音さえマスターできれば、ベトナム語を独学で勉強することは不可能ではありません。ベトナム語を独学で効率的に学ぶためのおすすめの教材を紹介していきます。
ベトナム語の教材の選び方のポイント
ベトナム語の教材を選ぶポイントは、ベトナム語を学ぶ目的をはっきりとさせるところから始まります。
ベトナム語を学ぶ目的は例えば、ベトナムの大学でベトナムについて勉強するため、ベトナムで仕事をするため、などなど目的は様々です。もしくはそこまでしっかり学ぶのではなく、旅行や短期滞在のために日常会話を学びたいというケースもあることでしょう。
ベトナム語を学ぶ自分自身のゴールがはっきりすれば、自然と選ぶ教材の中身が決まってくるはずです。
おすすめのベトナム語の参考書
英語や他のメジャーな言語に比べて、ベトナム語の参考書の種類はかなり限られています。初級の文法や単語を覚える目的であれば、まずは参考書があれば十分です。
参考書はベトナム語を学ぶ目的によって選びます。文法がある程度きちんと網羅されているものかどうか、日常会話をきちんと学べるかどうかなど目的と参考書の内容が合致しているかどうかをきちんと見定めましょう。
参考書で勉強するメリット/デメリット
ベトナム語の文法の仕組みは日本語の文法とは異なりますが、そんなに難しくはありません。初級、中級のベトナム語の文法を学ぶのであれば、参考書があれば独学でできるでしょう。参考書で勉強するメリットはいつでもどこでも好きな時に学べるところと、コスパの高さでしょう。
しかし参考書だけではベトナム語をマスターすることはできません。参考書だけで学ぶデメリットは、ベトナム語で一番重要な声調や発音の練習がきちんとできないことです。もちろん付属のCDなどを聴きながら練習することはできますが、それが果たして正しく発音できているのかどうかは、誰にもわかりません。
参考書は文法や新しい単語を覚えるツールとして考えておきましょう。
参考書での効果的な勉強方法
ベトナム語の参考書を使った効果的な勉強方法は、
「独学で参考書+リアルなベトナム人の先生との勉強」のコンビネーションです。
発音が命のベトナム語は、残念ながら参考書だけでは完全にマスターすることはできません。そこで参考書で文法を学びつつ、ベトナム人の先生に声調や発音を学ぶという二段階システムが必要です。
ベトナム語に限らずどんな語学でも、インプットとアウトプットがセットになっていなければなりません。声調、発音以外のインプットは参考書でできますが、声調、発音を含めたアウトプットは参考書だけではできません。
ぜひ参考書とベトナム人の先生との挟み撃ちでベトナム語を学んでいきましょう。
おすすめのベトナム語勉強用オンラインサイト
来日するベトナム人が増えてきているとはいえ、全国各地にベトナム人の先生がいるわけではありません。ベトナム人でかつベトナム語を教えてくれる人は本当に一握りです。
ではどうしたらリアルなベトナム語に触れられるかというと、オンラインで学習をすることです。現代では様々なオンライン学習システムで、どこに住んでいてもベトナム語をベトナム人の先生に習うことができます。
オンラインサイトで勉強するメリット/デメリット
オンラインサイトでベトナム人の先生にベトナム語を習うメリットは、世界のどこにいてもパソコンとネット環境さえあればベトナム語を勉強することができるところです。さらに一般的には教室に通うよりも低コストで習うことができるでしょう。
オンラインサイトでベトナム人の先生に習うデメリットは、そのベトナム人が必ずしも教えるための専門的な知識や資格を持った人物とは限らないということです。
リアルなベトナム語教室に通えば、その教室や学校のフィルターによって、ある程度はベトナム語を教える知識と経験のある人が選りすぐられているはずです。ただベトナム語が話せるベトナム人からベトナム語を習っても、日本人が誰でも日本語を教えることができないように、体系的に効率的にベトナム語を学ぶことはできないでしょう。
オンラインサイトでの効果的な勉強方法
もちろん素晴らしい先生に当たる可能性もありませうが、オンラインサイトでのベトナム人の先生にあまり期待をしない方がよいかもしれません。
オンラインでのベトナム語レッスンは、あくまで会話の練習程度に考えておけばよいのです。参考書を使って文法を学び、できればきちんとベトナム人の先生に習いつつ、プラスアルファでオンラインでベトナム人と会話やリスニングなどの練習ができればパーフェクトです。
おすすめのベトナム語教室の特徴、メリット・デメリットなど
来日するベトナム人やベトナムで働く日本人がどんどん増えている昨今では、ベトナム語の需要は高まっています。でもまだまだベトナム語を学ぶ環境は恵まれているとは言えません。
そんな中でも都心近辺や大都市に住んでいれば、ベトナム語をきちんと学べるスクールがあります。ベトナム人の先生に、発音から文法まできちんとベトナム語を学べる学校を紹介していきます。
ゴーウェルベトナム語スクール
東京のど真ん中、銀座にあるベトナム語スクールです。参考書を使ったマンツーマンレッスンを、好きなコマ数だけ購入して通います。マンツーマンなのでビギナーから上級者まで個人に合わせたレッスンをアレンジ可能です。
スクールに通えない人のための、スカイプを使ったオンラインレッスンもあるので、東京近郊にに住んでいなくても、ベトナム人の先生と一緒に勉強ができます。
1コマ50分のマンツーマンレッスンを10回で31,000円、30レッスンで87,000円という驚きの低料金も魅力です。なお先生は、担任制ではありません。
JAYAランゲージスクール
東京の池袋と飯田橋にあるJAYAランゲージスクールでは、マンツーマンからセミプライベート、グループレッスンまで様々なスタイルでベトナム語を学ぶことができます。マンツーマンレッスンが多い中、グループレッスンがあるのはベトナム語学習の仲間ができて、互いに切磋琢磨できる良いポイントです。
1コマ60〜70分のグループレッスン(2〜6人)を4回(週1)で12,000円、1コマ60分のマンツーマンレッスンを4回(週1)で16,000円となります。このほか入会金と諸経費もかかります。
アイザックベトナム語スクール
アイザックは世界30ヶ国以上の外国語を学べる語学スクールです。教室は東京、埼玉、名古屋、大阪にあります。
講師は日本語ができる専任の一流講師となるため、個々に合わせたカリキュラムで、目標のレベルに達するまできっちり見守っててくれます。
1コマ45分のレッスンを20回で146,000円(+入会金と諸経費がかかります)となるので、少し割高ですが、復習用にベトナム語を録音できたり、レッスンが無い日も教室で自習できたりと、きめ細かいサポートが売りです。
ベルリッツ
ベルリッツは必ずしもベトナム語に特化している語学スクールではありませんが、全国津々浦々にスクールがあり、ベトナム語も全国で学ぶことができます。
マンツーマンレッスンではもちろんカスタマイズが可能なので、目的にあったカリキュラムを組むことができます。
ただ大手企業という安心感はありますが、料金の高さがネックです。
1コマ40分のマンツーマンレッスンの料金は、1回6,000〜8,000円。入学金、教材費もかかります。
公式HP:berlitz.co.jp/ol/
日本ベトナム友好協会
日本で一番古い日本とベトナムの親善を目的とした友好協会が開催している、ベトナム語講座というのがあります。
いつも開催されているわけではなく、年に数回ほど開催しているイメージです。講師は日本にいるベトナム人の学生さんですが、格安でベトナム語を習うことができます。
初めてベトナム語を習う人や、ベトナム語がどのようなものかを知ってみたいという人にはおすすめの講座です。
8名以上のグループレッスンで、5回15,000円となっています。
公式HP:http://nvyk.jp/
まとめ
ベトナム語を学ぶためには、まずは何を重点的に学ぶべきかを把握してから始めましょう。ベトナム語の学習で最初にやらなければならいことは、日本語には存在しない声調や発音を学ぶことです。ベトナム語の最初の関門である、発音さえ乗り越えればあとは文法、単語などは覚えるだけです。
ベトナム語を効率よくマスターするためには、独学だけではかなり厳しいところがあります。スクールでもオンラインでも必ずベトナム人の先生と一緒に声調や発音を学ぶようにしましょう。
日本語と共通のルーツをもち、共通の言語も発見できる、簡単で難しいベトナム語学習をぜひ楽しみながら続けてくださいね。
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