現在、ベトナムは世界で最も注目を浴びている国の一つであり、観光目的等の短期滞在や留学やお仕事の関係で長期滞在する人等、理由は様々ですが、日本とベトナムの交流はますます盛んになってきています。
日本の外務省領事局政策課発表の海外在留邦人実態調査(平成30年要約版)によると、2011年時点のベトナム在住の日本人は9313人だったのですが、2017年10月1日時点では17,266人と、6年間で約1.9倍の在住者増を記録しました。一方で、日本に滞在する在留ベトナム人の数については、2018年末時点で330,835人と前年比26.1%の増加率を記録しました。この数字が示す通り、日本人とベトナム人との国際交流は明らかに活発化しており、日本人がベトナムの言葉や文化を学び、理解する必要性は年々増してきています。
日本人がベトナム人と知り合う機会が増える中で自ずと求められるのは、自分自身がどういう人でどういうグループに属しているのかといった自己紹介のスキルだと思います。自己紹介が適切に行えることは人の第一印象を決める重要なコミュニケーションスキルであり、特にベトナム語で自分のことを伝えることができれば、ベトナム人の心をがっちりと掴むことができます。(南部と比べて、保守的と言えるベトナム北部の人の心だって鷲掴みできます!)
この記事では、「初めまして」に相当するベトナム語のフレーズを2つ紹介し、それぞれのフレーズの単語と文法を解説した後に、ベトナム語の「初めまして」のフレーズを活用した自己紹介例を伝授したいと思います。
【目次】
初めて会うクラスメートや同僚に使ってみよう~Rất Vui Được Gặp Bạnの解説と実用例~
例えば、あなたが上司からベトナム出張を命じられ、ベトナム現地のスタッフに自己紹介をしなければいけなくなったシチュエーションを想像してください。
大切な点は、自己紹介をする相手は会社の重要顧客ではなく現地のスタッフであり、比較的カジュアルな自己紹介で事足りる点です。このようなカジュアルな状況では、「Rất Vui Được Gặp Bạn」のフレーズを日本語の「初めまして」として使えば、現地のスタッフから「おっ!こいつは、ベトナム語を少しかじってるな?やるじゃん!」と一目置かれること間違いなしです。
「Rất Vui Được Gặp Bạn」を構成する単語と文法解説
「Rất Vui Được Gặp Bạn」というフレーズは、日本語の「初めまして」に相当するフレーズとして、ベトナム語学習の初期に出てくる定型表現になります。定型表現ではありますが、単語ごとに細かく意味をとらえると、以下の通りになります。
Rất とても(副) Vui 喜ばしい、嬉しい(形) Được ~する機会に恵まれる(助)
Gặp 会う(動) Bạn あなた(名)
*Bạnについては、自分と相手の年齢差次第で別の二人称(em, anh等)が適切である場合があります。詳細については割愛させて頂きます。
英語で言うところの「I’m happy to meet you」というフレーズでしょうか。初めて会えて嬉しいという気持ちをストレートかつシンプルに伝えることに適したフレーズです。例えば、初めて会うクラスメートや同僚に対する自己紹介を行うような、比較的カジュアルなシチュエーションで効力を発揮するフレーズと言えます。
「Rất Vui Được Gặp Bạn」を使った自己紹介の例~ベトナム出張を命じられた河内(Hà Nôi)君の場合~
「Rất Vui Được Gặp Bạn」を使った自己紹介の例を具体的なストーリーを通じて学びましょう。
河内くんは大手商社で働く26歳のヤリ手営業マン。上司からの信頼も厚く、大学で勉強した英語を駆使して海外案件を数多く獲得してきた敏腕サラリーマンだ。
しかし、1週間前に直属の上司からベトナムに駐在してくれと命令があり、ベトナム語を勉強し始めた。明日は初めてベトナムのグループ企業のスタッフを顔合わせするのに、昨日から勉強したばかりでベトナム語が全然分からない。どうやったら彼らと仲良くやれるだろう。。。とりあえず、彼らは英語を理解してくれるかな?
河内くん:ハロー! ナイストゥミーチュー(Nice to meet you).
マイネームイズカワウチ!
ベトナムグループ企業のスタッフ:…(^-^;
…というように、ベトナムのオフィスワーカーは必ずしも英語に堪能というわけではありません。ハノイやホーチミンの外資系企業で働いているオフィスワーカーは比較的通じる場合が多いのですが、ローカル企業で働くオフィスワーカーであれば、高い確率で英語が通じません。
では、「Rất Vui Được Gặp Bạn」を使って、ベトナム人にどう挨拶すればいいのでしょうか。以下は一例です。
河内くん:Em chào Chị ạ. (こんにちは) Em tên là Kawauchi.(私の名前は河内です)
Rất vui được gặp chị ạ.(初めまして)
ベトナムグループ企業のスタッフ:Chị cũng rất vui được gặp em.(こちらこそ、初めまして)
となります。シンプルですが、これで十分です。初対面でここまでベトナム語で挨拶や自己紹介ができると、ベトナム人の心はがっちり掴めます。
お客さんとの名刺交換の場で使えるフレーズ~Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạnの解説と実用例~
比較的カジュアルな場で使える「初めまして」のベトナム語フレーズとして、「Rất Vui Được Gặp Bạn」を紹介しましたが、よりフォーマルな場で使えるフレーズは「Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」 になります。
実際には、「Rất Vui Được Gặp Bạn」というフレーズも顧客との名刺交換時のようなフォーマルな場でも使えないことはないのですが、筆者の友人曰はく、「Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」の方がやや硬めのフレーズとのことでした。挨拶や自己紹介をする相手が自分の会社の顧客で、丁寧な言い方が求められる際に使うべき表現になります。
「Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」を構成する単語と文法解説
硬いと言われるこのフレーズですが、その理由は単語を一つ一つ訳してみると分かるはずです。以下、単語の訳になります。
Rất とても(副) Hân Hạnh 光栄な(形) Làm Quen 知り合いになる(動)
Với ~と(前) Bạn あなた(名)
直訳すると、「あなたとお知り合いになれて、とても光栄です」となります。英語だと、「I’m very pleased to make your acquaintance」というフレーズが近いかと思います。
初対面の方に使うには、ちょっと硬い表現だというのが分かるかと思います。カジュアルな場で使うには、ちょっと大げさすぎて適切な表現とは言い難いですね。
「Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」の補足と少し似た表現
「Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」という表現もまた定型表現であり、ベトナム語中級レベルを学ぶ学習者のテキストには載っている表現ですが、筆者の友人にこのフレーズを見せたところ、「Rất(とても)」という単語を省いて「Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」だけで十分とのことでした。
「Hân Hạnh(光栄な)」という単語を使っているだけでもかなり仰々しいのに、その意味を更に強調する必要はないというのが彼の見解でした。ちなみに、よりカジュアルな表現として紹介した「Rất Vui Được Gặp Bạn」と組み合わせたような「Rất Vui Được Làm Quen Với Bạn」という表現の方が、ネイティブスピーカーには自然な表現に聞こえるようです。
まとめ
日本語の「初めまして」に相当するベトナム語として、「Rất Vui Được Gặp Bạn」と「Rất Hân Hạnh Làm Quen Với Bạn」を学びました。初対面のベトナム人との挨拶や自己紹介の際に、これらフレーズを適切に使うことができれば、ベトナム人とすぐに仲良くなれること間違いなしです。
最後に、あるベトナム人へベトナム語で自己紹介する文章を作ってみました。このシチュエーションがカジュアルな場かフォーマルな場かを想像しながら、この記事の復習をしてみてください。
河内さん: Xin Chào! Em tên là Kawauchi, làm việc ở công ty ABC. Quê em ở Nagasaki.
Em 26 tuổi. Sở thích của em là TÁN GÁI.
Rất vui được gặp anh.
以上です。あえて翻訳文は入れません。河内さんはどうやらプレイボーイのようです。自分の名前、所属、年齢を最低限挨拶の中に盛り込み、締めは今回学んだ「初めまして」のフレーズを使うというのがコツかと思います。
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