ベトナムは親日であると言われており、近年日本に来るベトナム人も急増しています。ベトナムが親日であるのは、どのようなことが理由なのでしょうか。
調査してみると、どうやら理由はひとつではなさそうです。ベトナムが親日である理由や親日に至るまでの歴史的背景、人気の日本製品などを順番にご紹介していきます。
ベトナムが親日な理由とは?
ベトナムが親日なのは、なぜなのでしょうか。歴史的な背景から現在の国同士の関係、一般の人々の生活に近いところでの日本の製品のイメージなど様々な理由があるようです。理由を一つずつ洗い出してみましょう。
日本製品の信頼性
ベトナムではアメリカやヨーロッパ、韓国などの多くの海外製品とともに、日本製品もたくさん見られます。日本製で有名なものはバイクや自動車、電化製品、化粧品、おむつ、粉ミルクなど様々あります。
日本製品への信頼性は高く、その品質の高さから日本製の製品が欲しいとベトナム人の多くが思っています。しかし日本製の製品はブランド価値が高く価格も高いため、結局購入するのは韓国製品に流れてしまうそうです。ということで実際に売れているのは韓国製品が多いのかもしれませんね。
成熟した先進国としてのイメージ
日本が急速な経済発展をし始めたのが1945年の終戦後からで、ベトナムは1986年のドイモイ政策を取り入れてからです。ベトナムの経済発展の様子や人口の動向が、40年前の日本と似ていると言われています。
このように日本はベトナムのかなり先に経済発展を遂げ既に成熟した先進国としての位置を築いています。このためベトナム人にとって日本は一歩先を行く先進国としての憧れのイメージが強いようです。
ベトナムへの支援額の大きさ
日本はODAなどを通じて、長期にわたりベトナムを援助してきています。その内訳は資金援助だけでなく、技術協力なども含まれます。日本のベトナムへの経済協力は世界各国の中でなんとトップです。
一般のベトナム人がどこまでこの事実やデータを把握しているかは不明ですが、ベトナムにはそこかしこに日本人が作った橋や道路があり、ベトナム人も日本人がベトナムのために公共の建築物などを作っていることをよく知っています。
さらに今後もベトナム各地の水道や火力発電などのインフラ整備、地球温暖化対策のプロジェクトなどで経済協力が続いてく予定です。
歴史的背景
ベトナムは紀元前からの中国支配の後にフランスの統治下におかれ、さらにベトナム戦争が起こるなどして長期間に渡り他国に翻弄し続けてきた国です。そんな中、日本も他国同様に戦時中ベトナムに対して行った許されない過ちがいくつもあります。
しかしベトナム人の間には日本はベトナムをフランス統治から解放した救世主である、というイメージも色濃くあるようなのです。終戦後にもベトナムの独立に協力するためにフランスと戦った日本兵がいたことも影響しているようです。
さらにこれはベトナムの国としての外交の方針が関係していることも推測されます。日本が戦時中にベトナムを占領したり、太平洋戦争末期にベトナムから大量の米を奪い、ベトナムでの膨大な飢餓による死者を生むこととなった話は、ホーチミン国家主席の独立宣言にも明記されており、若者は学校で必ず習うという内容だそうです。
しかしベトナム政府はこの事実を現在の国の関係に持ち出しません。日本がベトナムへの最大の経済支援者であるのは、かつて日本がベトナムに対して犯した罪に対する贖罪の意味もあるのかもしれませんね。
ベトナムの親日度はどれくらい?
ベトナムの親日度は他国に比べてどれくらいなのでしょうか。親日度を測るデータと照らし合わせてながら検証してみましょう。
反日派が1割に満たない国である
「国民の約8割が親日的で、反日が1割に満たない」という親日の基準においてベトナムは、上位6カ国に入っています。アメリカの調査機関によれば、ベトナムの親日度において「とても好き、どちらかといえば好き」をあわせて82%という結果になっています。
また、アウンコンサルティング株式会社の調査によれば、「日本人が好きですか?」という問いに対しベトナム人の98%が「好き、もしくは大好き」と答えています。
台湾やタイにに並ぶ世界屈指の親日国
親日的と言われる上位6カ国はベトナムのほかにインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、台湾の5カ国が上がっています。
かつて日本の統治下にあった台湾はインフラの整備など日本によって近代化が進められました。台湾の親日感情は台湾が中国に対する思いと逆のものがあるようです。
進出している日系企業や在住している日本人が多いタイも、親日として知られる国の一つです。タイも日本のように皇室制度があったり、アジアの中で欧米の領土にならなかった国として日本と多くの共通点もあります。
ベトナムもこれらの代表的な親日国と同様に、実は親日度の高い国の一つに名乗りをあげています。
2018年に国交樹立45周年を迎えた
日本とベトナムが国交を樹立したのは1973年です。2018年は記念すべき国交樹立45周年を迎えました。その1年前の2017年当時の天皇皇后両陛下がベトナムを訪れており、二国間の友好関係はますます良好なものとなっています。
日本語がベトナムの第一外国語になる?
2016年には日本はベトナムの全土の小学校において、日本語を英語と同じように第一外国語として教えることを目指す方針で、ベトナムの教育訓練省と一致したと発表しました。
同年の9月から試験的に、ハノイの3つの小学校で日本語学習クラスの設置を始めまています。これは東南アジアで初めての試みです。
ベトナム全土の小学校で日本語を教えることにはまだまだ課題が残されており、今後どのように展開していくかはまだ不明ですが、日本とベトナムの関係の強さがうかがえる事実の一つと言えるでしょう。
ベトナムが親日である歴史的背景
ベトナムと日本の歴史的背景が、ベトナムの日本に対する親日度の高さにも影響していることは少し触れましたが、この歴史の流れを掘り下げていきましょう。
日本がベトナムを侵略していた時期もある?
日本は1940年、当時フランスの植民地であったベトナムへ進駐しました。その後フランスとの二重支配が続いていたベトナムでクーデターを起こしフランスを制圧し、これを正当化するかのように形式的にベトナムを独立させ1945年にベトナム帝国を作りました。
しかし、これはベトナムの真の独立ではなくフランスから日本へ統治が変わっただけであると言われています。1945年のベトナムの大飢饉があったにもかかわらず、日本はベトナムから大量の米を奪い取り、200万人にも上るベトナム人の餓死者を出したともいわれています。
ベトナムをフランスからの解放を支援した
ベトナムのフランスからの解放は形式的なものであったかもしれません。しかし日本がフランス軍を駆逐し、フランス支配からベトナムの独立という形を取らせたというポジティブな面が、ベトナム人にとって好意的に受け入れられているようです。
さらに終戦後もベトナムに残りベトナムの独立のためにベトナム軍と一緒にフランス軍と戦った日本兵は少なからずいたようで、他国のために命を懸けて戦った旧日本兵がベトナムに与えた影響も大きいと言われています。
中国とベトナムの日本に対する想いの違い
中国はベトナムと同じように日本によって侵略された歴史を持つ国の一つです。しかしベトナムとは逆に中国人が日本に侵略されたという認識も強く、反日感情が強いことが特徴です。
これは対外政策の方針であったり、反日を植え付ける教育方針などを中国が積極的に行っている影響が高いと言われています。
ベトナム人と中国人はお互いに影響しあいながらも異なる文化を持っています。ベトナムでは憎しみを増長する教育を行っていないことが中国との国の違いのようです。
日本製品でとくに信頼度の高い製品とは?
ベトナムには日本製品がたくさん進出していますが、その中でもとくに信頼度が高くベトナム人に人気があるのはどのような製品になるのでしょうか?意外なアレも登場してきます。
バイクや車はやっぱり日本製
ベトナム人の足はバイクであり、バイクの象徴的なブランドは日本のホンダやヤマハです。日本のホンダとヤマハだけで、ベトナムのバイクのシェアの85%を占めているとも言われています。
さらにベトナムで一番見かける日本車はトヨタです。ベトナムでの日本車の象徴はトヨタであるといっても過言ではないでしょう。これまで自動車は税金が高くなかなか購入が難しかったベトナムですが、規制が緩和されこれからますます日本車も増えてくることでしょう。
日本製のバイクや自動車の品質が高いことはベトナム人の多くの人々がすでに知るところです。
化粧品やサプリメントの信頼度が究極に高い
経済発展が進んできて、外資系のファッションやコスメのブランドもベトナムの都市部では購入できるようになりました。しかし圧倒的な信頼度を誇るのはやはり日本製の製品です。日本を代表する資生堂はベトナムでは高級化粧品として取り扱われています。
このほか花王やコーセ、SKⅡなど様々な日本の化粧品ブランドが入ってきています。日本製の製品は品質が高く人気があるのですが、ベトナムで購入すると高額になってしまいます。このため多くのベトナム人は日本へ行く旅行者などに、日本での購入を依頼したりしています。
また、ベトナム人からの日本のサプリメントへの信用性もかなり高いことがうかがえます。経済発展とともにベトナム人も食べるものの質や健康に気を使う人が増えてきています。しかしお隣中国からの粗悪なサプリメントなども多く氾濫しているため、信頼できる日本製の製品をあえて購入したいという人が増えています。
味の素はもはやベトナムの味!?
ベトナムでこんなにも味の素が愛用されている事実は、日本では知られていないのではないでしょうか。味の素はもはやベトナムの家庭の味、料理の素と言ってしまっても過言ではないくらい、ベトナムのあらゆる料理に使われています。
日本では一昔前家庭に1つは味の素の小瓶があったようなイメージもありますが、今では少なくなってきているような気がします。
味の素はベトナムでもそのまま「Ajinomoto」として親しまれており、朝、昼、晩とどんな料理にでも使うそうです。
スーパーに行けば味の素の棚が広々とあり、味の素の袋が所狭しと陳列されています。日本製品である味の素がベトナムでここまで愛されているのは少し驚きですが、うれしいことですよね!
日本の製品を紹介するときに使えるベトナム語
日本製の製品などをベトナム人に紹介する時に使えそうな、ベトナム語のフレーズをいくつかご紹介します。
■ Sản phẩm này được sản xuất tại Nhật Bản.(サン ファム ナイ デュオック サン スアット タイ ニャット バン) / こちらの製品は日本製です。
■ Honda và Yamaha là những công ty xe máy nổi tiếng tại Nhật Bản.(ホンダ ヴァー ヤマハ ラー ニュン コン ティー セー マイ ノイ ティエン タイ ニャット バン) / ホンダやヤマハは日本でも有名なバイクの会社です。
■ Toyota là công ty ô tô lớn nhất của Nhật Bản.(トヨタ ラー コン ティー オートー ロン ニャット クア ニャット バン) / トヨタは日本で一番大きな自動車の会社です。
■ Viên uống bổ sung này là một sản phẩm được sản xuất tại Nhật Bản.(ボー スン ナイ ラー モッ サン ファム サン スアット タイ ニャット バン) / このサプリメントは日本製の製品です。
■ Ajinomoto là một thương hiệu Nhật Bản.(アジノモト ラー モッ ヒェウ ニャット バン) / 味の素は日本のブランドです。
まとめ
ベトナムが親日なのは日本製品への信頼性やベトナムの一歩先を行く日本の国の成熟度、経済的援助、歴史的な背景など様々な理由がありました。
国交樹立から45年以上を迎え、日本とベトナムの関係はさらに強固なものとなっています。
一般のベトナム人から人気のある日本の製品はたくさんありますが、中でもバイクや自動車、化粧品、サプリメント類の信頼性は極めて高いものがあります。
また日本の味の素も、ベトナム人が広く愛用する日本製品を代表する象徴的な製品の一つとなっています。
今後ベトナムの各地で日本語を話せる小学生が増える日も近いかもしれません。これからの日本とベトナムの関係にますます注目していきましょう。
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