ベトナムの公用語はベトナム語。様々な文化がミックスしたそのルーツとは?

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ベトナムの公用語はベトナム語です。ベトナム語はインドシナ半島の国の公用語の中で唯一アルファベットを用い、その多くの言葉が漢字でも表現できるという特殊な言語です。

なぜベトナムではベトナム語が公用語なのか、またベトナム語が出来上がった背景や、ツールなどを探ってみましょう。

ベトナムの公用語、ベトナム語はキン族の言葉?

まずご紹介したいのは、ベトナム語の公用語であるベトナム語は、ベトナムの中で最も大多数を占める民族であるキン族の言葉であるということです。

それは一体どういうことなのでしょうか。そもそもベトナムはどのような民族構成で成り立っているのかというところから、掘り下げていきましょう。

ベトナムは多民族国家

ベトナムは実は54の民族からなる多民族国家です。民族の種類は多い順番にキン族、タイー族、ターイ族、ムオン族、クメール族、ホア族、ヌン族、モン族、ザオ族などとなります。

一番多いのがキン属で約86%を占めています。この他の多くの少数民族は山岳地帯に住んでおり、例えば少数民族の村や棚田の美しい観光地としても有名なサパに住んでいる民族は黒モン族、ザイ族、赤ザオ族、タイー族などとなります。

キン族が話す言葉がベトナム語

ベトナムで一番多い民族であるキン族が、私たちの抱くいわゆる一般的なベトナム人のイメージとなっています。そのキン族が話す言葉がベトナム語であり、ベトナムの公用語となっています。

他の民族は何語を話す?

キン族以外の他の民族はそれぞれの言語を持っており、彼ら独自の言葉を使って話します。しかし学校や職場では公用語であるベトナム語を使うため、ほとんどの人たちが2つの言語を使えるバイリンガルです。

しかし少数民族の言葉の約半分は文字がない言葉であり、保存が難しくなってきている少数民族の言葉もあります。

ベトナム語以外に公用語はある?

ベトナムは多民族国家であり、キン族が話す言葉以外にも色々な民族の言葉が使われています。

国によっては公用語が複数あるところもありますが、ベトナムはどのようになっているのでしょうか。

ベトナムの公用語はベトナム語だけ

ベトナムではベトナム語を使うキン族が86%と圧倒的に多いため、ベトナムの公用語はベトナム語のみです。

他の民族は残りの14%を53の民族で分け合っており、キン族の次に多いタイー属でも2%未満です。

中国語、クメール語、英語を話せる人も

ベトナムは歴史的に中国の影響を強く受けています。紀元前より1000年以上も中国の支配下にあったことから、かつてのベトナムの公用語は漢文でした。今でもベトナム語の6〜7割の言葉は漢字で表現できると言われています。また中国語のように声調があるところも、中国がベトナム語に与えた影響の大きさが現れています。

しかしベトナムで中国語がそのまま通じるわけではありません。広東語とベトナム語は似ていると言われることもありますが、全く異なる言語です。ベトナムと中国は国境を接しており、近年中国からの旅行者も多いことから、一部のベトナム人で中国語ができる人がいるといったレベルです。

クメール語はカンボジアの公用語です。ベトナムの南部はカンボジアと接しているためベトナムの少数民族としてクメール族も住んでいます。彼らに対してはクメール語が通じますが、普通のベトナム人にクメール語は通じません。

英語はベトナムの観光地を始め、都市部の若い人たちには通じます。ベトナムでは英語が使えると条件の良い仕事に直結するため、多くの人が必死に英語を習得しようとしています。ベトナムでの英語教育は近年小学校3年生から必修科目ともなり、国をあげて英語の教育に力を入れています。

 

ベトナム語とクメール語は似ている?

ベトナムの南部はカンボジアと国境を接しています。現在の国は違うとはいえ、同じインドシナ半島の隣り合う国同士として、文化や言語に共通点がありそうです。

ベトナム語の公用語であるベトナム語と、カンボジアの公用語であるクメール語はどのくらい似ているのでしょうか。実はこの問題に関しては諸説あり、似ているという説もあれば似ていないという説もあります。実態を検証していきましょう。

ベトナム語とクメール語は同じ語派

ベトナム語とクメール語は同じ「モン・クメール語派」に属しています。インドシナ半島に属する国々の言語や少数民族が使用している言語が同じグループに属しています。

最初に現在のベトナムがある場所に住んでいた人たちは、モンクメール系の言語で話しており、その後タイ語系に近い人たちが住み始めたという説があります。現在のベトナム語の一部にはクメール語と同じ意味、同じ発音のものがあり、同じようにタイ語と似ている名前や発音のものが存在することがその理由です。

似ているようで似ていない

ベトナム語とクメール語は一部の言葉で同じ意味や似た発音を持っている言葉があります。しかし現在のベトナム語とクメール語はそれぞれが全く異なる言語となっており、互いに通じ合うことはありません。

ベトナム語は東南アジアや南アジアの土着言語の中で珍しいアルファベットを使った文字を用いています。これはかつてのフランス支配時代に制定されたものです。一方のクメール語はアルファベットとは全く異なる独自の文字を使用しています。クメール語はベトナム語よりも、文字の雰囲気も言葉にしてもタイ語に非常に似ていると言われています。

このような点から、ベトナム語とクメール語はインドシナ半島内で同じルーツを持ちながらも、それぞれの場所で独自の発展を遂げ、今となっては全く異なる言語カルチャーを持つこととなったと考えるのが自然でしょう。

ベトナム語は中国からの影響が強い

ベトナムは前述のように、紀元前から1000年以上に渡り中国に支配されていたため、言語においても中国の影響を大きく受けています。インドシナ半島の中で最も長く国境を接するのがベトナムなため、インドシナ半島のそのほかの国とは違い、中国の影響を受けながら独自の言語が発展していったようです。

ベトナムでは寺や神社をはじめ、街のあちこちにある歴史的建造物に漢文が刻まれていることが今でも見られます。さらに旧正月を祝ったり、ベトナムの伝統的なアオザイがチャイナドレスに似ているなど、言語だけでなく文化においても中国の影響の大きさを感じることができます。

ベトナムで英語は通じる?

ベトナムの公用語はベトナム語ですが、日本人にあまりなじみのないベトナム語をいきなり使おうとしても難しいですよね。

旅行にせよ、仕事にせよベトナムでどのくらい英語が通じるのか気になります。英語がある程度通じるのか、ベトナム語を全く勉強していかなくてもなんとかなるのかを確認していきましょう。

観光地や都市部では通じることが多い

もしベトナムで行く場所が主に観光地やハノイ、ホーチミンのような大都市なのであれば英語はある程度通じます。

ベトナムに来る外国人相手のレストランなどでは英語のメニューなども用意されているほどです。ちなみに日本人が相手の日本料理レストランなどでは日本語のメニューまであるところもあります。

都市部では英語を学んでいる若者も多く、英語にそこまで抵抗なく外国人に対しては英語で話してくれようとします。

このように観光地や都市部では片言の英語でコミュニケーションが取れることがほとんどです。

タクシーの運転手やローカルのベトナム人にはほとんど通じない

大都市や観光地だとしても、そこに土着で住んでいるローカルのベトナム人、とくに高齢になればなるほど英語は全く通じません。

観光客の足となるはずのタクシーやGrabなどの配車システムのドライバーたちも、よほど観光客専門にしていない限り英語は通じません。

観光客向けの場所に行くだけでなく、オリジナルプランでローカルのベトナム人ともっと触れ合いたいと考えるのであれば、英語だけではコミュニケーションを取ることができません。

ベトナム語は難しく、一朝一夕で習得できる言語ではありませんが、必要最低限の言葉はベトナム語を勉強していくことをおすすめします。

ベトナムに行く前にこれだけは覚えておきたいベトナム語

ベトナムでこれさえ知っておけばなんとかなる、必要最低限のベトナム語をご紹介します。もちろんこれだけでは足りませんが、タクシーやレストラン、お店で使えるフレーズをいくつか紹介します。

■ Cám ơn (カームオン) / ありがとう

■ Xin chào (シン チャオ) / こんにちは

■ Cho tôi cái này(チョー トイ カイ ナイ) / これをください

■ Bao nhiêu tiền(バオ ニュー ティエン) / いくらですか?

■ Tính tiền(ティン ティエン) / (レストランで)お会計をお願いします

■ Dừng lại ở đây(ズン ライ オー ダイ) / (タクシーの運転手に)ここで止めてください

■ Rẽ phải (trái)(ゼエ ファーイ(チャーイ)) / (タクシーの運転手に)右(左)に曲がってください

■ Đi thẳng(ディー タン) / (タクシーの運転手に)まっすぐ行ってください

関連記事:旅行ですぐに使える!これだけ知っていればOKなベトナム語の会話フレーズ集

 

 

 

Nguyet

Cảm ơn

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Nguyet

Xin chào

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Nguyet

Cho tôi cái này

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Nguyet

Bao nhiêu tiền

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Nguyet

Tính tiền

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Nguyet

Dừng lại ở đây

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Nguyet

Rẽ phải

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Nguyet

Rẽ trái

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Nguyet

Đi thẳng

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まとめ

ベトナムは54の民族からなる多民族国家であり、ベトナムの公用語であるベトナム語は、ベトナムに住む一部の民族の言語であるということがわかりました。

この中で最も割合の大きいキン族がベトナム語を使っているため、ベトナム語の公用語がベトナム語になっています。他の53の民族はベトナム語のほかに彼らの独自の言葉を使っています。

ベトナム語はお隣のカンボジアの公用語であるクメール語と同じ語派に属しています。しかしベトナム語とクメール語は同じ意味や発音を同じくする言葉がいくつかあるものの、現代では文字も言語も大きく異なります。

ベトナムは他のインドシナ半島の国々とは異なり、長期にわたり中国やフランスの支配下におかれたため、言語もその影響を大きく受けて独自の発展を遂げてきたのです。

ベトナムでは一部の観光地や若い人たちに英語が通じますがローカルの人々にはほとんど通じません。ベトナムに行くのであれば必要最低限のベトナム語を覚えていくことをおすすめします。

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