ベトナムは東南アジアの国の中のひとつです。南北に長く、南に行けばいくほど赤道に近づきます。東南アジアの気候は日本と全く異なり、日本の梅雨よりも長い雨季があることが一般的です。
せっかくベトナムに行くのであれば雨季を避けて行きたいですよね?でも雨季は航空券やホテル代が安かったり、観光客が比較的少なかったりとお得な面もあります。
本記事ではベトナムの地域によって違う雨季の時期と特徴、そして雨季にベトナムに行った際のおすすめの過ごし方をご紹介していきます。
南北に長いベトナム。各地の気候のおさらい
ベトナムはインドシナ半島の東側をなぞるように南北に細長い国です。南北の長さは1,650kmで、日本の本州と同じくらいです。気候は緯度によって大きく異なり、大きく北部、南部、中部に分かれています。
北部の中心地はベトナムの首都ハノイ、南部は商業都市のホーチミン、中部はビーチリゾートのダナンが主要都市となっています。
これらの各地域の主要都市を中心に、まずはそれぞれの気候の特徴を把握していきましょう。
ハノイを中心とした北部は四季がある
東南アジアと聞くと常夏のイメージがあるかもしれません。でも中国の国境とも近いベトナムの北部ハノイは亜熱帯性気候で、日本と同じように四季があります。
ハノイの冬である12月〜2月上旬くらいまでは日本の晩秋くらいの寒さで、朝晩は10度を下回ることもあります。バイクを移動手段としているベトナム人はダウンコートを着ているほどです。暖房に関しては整備されていない建物も多いため、この時期は旅行者もセーターやコートが必要となるでしょう。
このようにハノイの冬は寒い上に、雲が多くどんよりした気候で、過ごしやすくはありません。
ハノイの春(2月〜4月くらい)、秋(10月、11月)は日本の季節よりも暖かく過ごしやすい気候で、旅行のベストシーズンと言えるでしょう。
5月くらいから日本の真夏と同じくらいの暑さで湿度も高いため、日中は出歩くのを避けた方がよいほどです。
ホーチミンを中心とした南部は雨季と乾季のみ
赤道にぐっと近づくホーチミンは熱帯性気候で、季節は雨季と乾季のみです。1年間の気温がほぼ変わらず最低25度前後〜最高が33度前後、平均気温が27度と、まさに常夏です。年中半袖と短パン、サンダルで過ごすことができる気候です。
季節によっては雲の多い北部に比べると、雨季でも雨が上がれば明るい空が広がる南部は東南アジア特有の南国の気候を味わうことができます。
ホーチミンの旅行のベストシーズンは、乾季を避け、気温も若干低めの11月〜3月くらいです。
ダナンを中心とした中部も雨季と乾季、台風にも注意
ダナンもホーチミンを中心とした南部と同じ熱帯気候に属し、季節は雨季と乾季のみです。ホーチミンに比べれば気温の高低差があり、最も気温が高い5月〜8月以外は1年中過ごしやすい気候です。
ダナンは旧市街のあるホイアンも含めて、ビーチリゾートが中心です。そのため降水量が激しく増える雨季の9月〜11月は旅行に向いていません。この時期は台風が接近することもあり、洪水災害などもあるほどなので、ビーチに近づくことは危険です。
明るい空と過ごしやすい気候、美しいビーチがあるダナンはベトナムで今人気急上昇中の場所です。日本からの直行便もできますます行きやすくなりました。
ダナンはビーチリゾートがメインで行くのであれば4月〜8月くらいまでがベストシーズンです。
ハノイ(北部)の雨季の時期は6月~8月
ではここからは各地域の雨季について解説していきます。まずは北部のハノイからです。
ハノイの雨は一日中降り続くことも
ハノイの雨季は6月〜8月です。1年のうち一番気温の高いこの季節に、降雨量も最大になります。暑さと湿度でとても過ごしにくいこの期間は、ベトナムの子供たちの学校が夏休みとなります。
ハノイの雨はスコールとは少し雰囲気が違い、一日中強い雨や弱い雨が降り続くこともあります。日によっては夕方から雷を伴った強い雨が一気に振り、水捌けの悪い道路がしばしば冠水してしまいます。
雨季のハノイは短時間、長期間の雨が一日に1回は降ることが多いと考えておいた方がよいでしょう。そのため屋外がメインの観光は雨に見舞われてしまう可能性が高くなってしまいます。
ハノイのおすすめ屋内施設
ハノイはベトナムの首都であり、政治的な都市です。古くからの歴史的建造物や遺跡もたくさん残っており、屋外の観光以外に屋内で楽しめる施設もたくさんあります。
雨季のハノイあるいは雨が降ったときにおすすめの屋内施設をご紹介します。
美術館、博物館
ハノイで雨の日におすすめの美術館、博物館はこちらです。屋内&屋外を廻る博物館などが多い中で、こちらの美術館、博物館は屋内だけでほぼ完結できます。
ベトナム女性博物館
ベトナムの歴史を支えてきたベトナム人女性をモチーフに、ベトナムの歴史、様々な民族の衣装、文化などを包括的に知ることができる興味深い博物館で、ベトナム人にも大変人気があります。
ベトナム美術博物館
ベトナムの歴史的、文化的な美術品や骨董品から、ベトナム人アーティストの近代美術まで、ベトナムのアート全般を知ることができる見応えのある美術博物館です。
ホアロー収容所
ベトナムのフランス統治時代の政治犯を収容したり、ベトナム戦争時代の捕虜を収容する施設として使われていたホアロー収容状の一部が、歴史的な建造物として残されています。実際に使われていたギロチンなども残っており生々しい雰囲気の中、ベトナムの歴史を知ることができます。
屋内アミューズメント
ハノイに来たらぜひ訪れて欲しい屋内アミューズメントはこちらです。雨でも関係なく楽しむことができます。
水上人形劇
水に恵まれたベトナムらしい水上人形劇は、素朴で愛らしいベトナムオリジナルの伝統芸能のひとつです。1000年以上続く水上人形劇によって、神話によるベトナムの成り立ちや、昔のベトナムの生活の様子などをベトナムの伝統楽器のライブ演奏と共に楽しむことができます。
Ionah Show
Ionah Showはハノイが誇る最高のエンターテインメントです。内容はシルクドソレイユのようなダンス、音楽、照明、アクロバットなど様々な要素が織り混ざった壮大なショーです。名前は「Hanoi」を反対にした文字になっており「イオナ」と読みます。
ホーチミン(南部)の雨季の時期は5月~10月
ホーチミンの雨季は5月〜10月です。北部の雨季とは違い南部の雨季の雨はスコールで、1日に1〜3回ほど短時間に強い雨が振ります。雨の後は晴れ上がることも多く逆に過ごしやすくなるため、雨季でもホーチミンや南部に関しては雨季を必ずしも避けなくてもよいかもしれません。
ホーチミンの雨季はスコール
ホーチミンの雨季の雨は南国特有のスコールです。短時間ではありますが、雨の勢いはすさまじく、普通の傘では間に合わず、道路はすぐに冠水してしまいます。
スコールが始まったら外を歩くのは諦めて、近くのカフェに入ったりして時間をつぶしましょう。しばらく待っていればやがてあがるでしょう。
ホーチミンののおすすめ屋内施設
ホーチミンの雨季は短時間のスコールさえしのげれば、屋外メインの観光地でもなんとかなるでしょう。でもやっぱり雨の多い季節は屋内の施設も知っておくにこしたことはありません。
ホーチミンで雨が降ったときにおすすめの観光施設をご紹介します。
美術館、博物館など
戦争証跡博物館
戦争証跡博物館は、雨が降っても降らなくてもホーチミンに来たなら必ず訪れて欲しい博物館です。ベトナム戦争の生々しい痕跡、今もなおベトナムに深く残る傷跡を知ることができます。
ベンタン市場
ホーチミンの見所の一つでもある有名なベンタン市場は、屋内なので雨の日もおすすめです。広い敷地内には生鮮食品から衣料品、おみやげまで様々な商品があふれ、活気に満ちています。ベトナム人との価格交渉などをしながら、ショッピングを楽しみましょう。
おすすめショッピングモール
ホーチミンはハノイと比べて市場経済が進んでいる活気のある商業都市で、外資系のショッピングモールも多く進出しています。
雨の日は思い切ってホーチミンならではのショッピングモールで涼みながら、しばらく過ごしてみましょう。ホーチミンで有名な大型ショッピングモールはこちらです。
Union Square Shopping Mall(ユニオンスクウェア・ショッピングモール)
富裕層向けのデパートで、ラグジュアリーブランドから電化製品まで揃うデパートです。
ホーチミン高島屋
2016年にできた日本の高島屋のホーチミン店。化粧品や婦人、紳士服、雑貨類が揃っています。ラグジュアリーブランドはユニオンスクウェアに比べると少なめです。
https://www.takashimaya-vn.com/en
PARKSON(パークソン)
2006年にオープンしたマレーシア系のデパート。化粧品、婦人、紳士服、雑貨類が入っており日本の百貨店に近いですが、イオン系のスーパーも入っていて買い物に便利です。
http://parkson.com.vn/v3/index.php/en/
Vincom Center(ビンコムセンター)
ベトナムの最大企業のひとつVinグループが運営するホーチミン最大のショッピングモール。250以上の国内外のブランドが揃っている上にレストラン街やスーパーもあり、食事やお土産の購入もできます。
https://vincom.com.vn/vi/tttm/vincom-center-dong-khoi-tp-hcm
ダイヤモンドプラザ
ラグジュアリーブランドの店からスポーツ用品、電化製品までなんでも揃うデパートです。フードコートもあります。
http://shopping.diamondplaza.com.vn/en-US/Trang-chu.aspx
ランドマーク81
81階建てのこちらのビルは、ベトナムで最高層ビルとなっておりショッピングの他展望台やレストランも入っています。
ダナン(中部)の雨季の時期は9~12月
ダナンを中心とした中部の雨季は9〜12月で、とくに9〜11月はホーチミンやハノイのどの月よりも降雨量が多くなります。
ダナンの雨季は台風に要注意
ダナンのとくに降雨量が多い9月〜11月は台風が接近することもあり、注意が必要です。降雨量の多さから街が冠水することもあります。ベトナムは降雨量のわりに排水設備が整っていないことも多く、浸水被害が出ることもあるほどです。
ダナンの雨季は旅行はおすすめしない
ハノイやホーチミンとは異なり、ダナンはビーチリゾートが中心となります。世界遺産にも指定されているホイアンの旧市街の街並みも車で30分ほどで行くことができますが、屋外が中心です。
台風のような激しい雨が降り続くことも多いため、ダナンに限っては雨季の旅行はおすすめしません。ハノイやホーチミンのように市街地に目ぼしい屋内観光施設も少なく、雨が降ると持て余してしまうかもしれません。
しいて言えば、ホイアンの旧市街ではおしゃれなカフェ、美味しいベトナム料理や多国籍のレストランが軒を連ねています。またオーダーメイドの服や革製品の店も多いため、食事やお土産、オーダーメイドの服や靴、カバンなどを作ってみるなどして楽しむことはできるでしょう。
でもせっかくのビーチリゾートなので、雨季を避けて旅行することをおすすめします。
まとめ
ベトナムは日本のように縦に細長い地形のため、北部と南部では大きく気候が異なります。北部の中心地である首都ハノイでは、なんと日本のように四季があり冬は意外と寒いということに驚かれたかもしれません。
ハノイの雨季は一日中降り続くことがあったり、激しい雨が突然降ったりするので雨季の旅行はあまりおすすめではありません。でもハノイでは雨の日でも楽しめる施設はたくさんあるので、雨季でも観光を楽しむことはできるでしょう。
南部、中部に関しては熱帯気候となるため雨季と乾季の2種類です。南部の中心地ホーチミンは東南アジアの南国らしく雨季の時期の雨はスコールです。短時間で止みますが、雨が降っている時は身動きできません。ホーチミンにもハノイ同様に屋内で楽しめる施設も充実しているので、雨季を避けなくても大丈夫かもしれません。
中部の中心地ダナンはホーチミンの雨季よりも雨が降る時間が長いことがあり、台風も接近しやすい場所です。ビーチリゾートを楽しむことがメインな場所なので残念ながら雨季は旅行に向かないでしょう。
ベトナムの雨季は過ごしやすい時期ではありませんが、航空券が安かったり観光客が比較的少なめだったりする利点もあります。ハノイ、ホーチミンであればあえて雨季を狙うのもありかもしれません。
ベトナムへ行く目的と場所を決めてから、雨季を考慮して旅行時期を決めてみてくださいね!
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