ベトナムの税金の制度をご存知ですか?なかなか知る機会がないかもしれませんが、もし旅行で行くとしても、就職して長期滞在予定するとしても生活に何かと関わってくるのが税金です。ベトナムに行くのであれば少し知っておくことをおすすめします。
本記事では私たちに直接関わりのありそうなベトナムの税金の制度を、わかりやすく説明していきます。
ベトナムの税金の制度
まずはベトナムにどのような税金の制度があるのかを、みていきましょう。
主な税金は4種類
ベトナムの主な税金は下記の4種類となっていて、とてもシンプルです。名前からすると日本の税制度とも似ているところがありそうです。種類ごとにどんな税金なのかを確認していきます。
法人所得税(CIT)
こちらはその名の通り、ベトナムにある法人の所得に対して課せられる税金です。
ベトナムの場合法人所得税の税率は基本 20%となっています。また対象法人は下記の2種類となっています。
内国法人:ベトナムの法律に従い設立された企業、公益団体、非公益団体、協会、組合
外国法人:外国の法律に従い設立された企業で、ベトナム国内に恒久的(基本は6ヶ月以上)な施設を持っており、ベトナムで所得を得ている法人
環境やエネルギー、バイオ、ハイテク、医療、製造など事業の内容や地域によっては、優遇税率や免税制度もあるため、もしベトナムで事業を行うの出れば内容、場所によって税率を詳しく確認することをおすすめします。
個人所得税(PIT)
個人所得税もその名の通り、個人の所得にかかる税金です。所得というのは給与所得や、投資所得、贈与、相続などが含まれます。また日本同様に累進課税となっており、所得の額によって税金の率が変わってきます。
詳しくは下記の項目で追って説明します。
付加価値税(VAT)
日本でいうところの消費税が、ベトナムの付加価値税となります。ベトナムの付加価値税はベトナムで商品を購入したりサービスを受けた時に課税されます。
商品やサービスの内容により 5%〜10%の税率で消費者が支払いますが、最終の納税者は商品やサービスを提供した個人や法人となります。
詳しくは下記の項目で追って確認していきます。
外国契約者税(FCT)
外国契約者税とは、日本ではあまり馴染みのない税金の制度かもしれません。
外国契約者勢とは、外国の法人や個人がベトナム国内の法人や個人との契約によって行うサービスの提供によって得られた所得にかかる税金です。外国契約者税は、所得税部分と付加価値税部分により構成されます。
また下記の3つの条件を満たすかどうかによって、申告方法が変わってきます。
- 外国法人や個人がベトナムに恒久的な施設を持っているもしくは居住者である
- 事業活動が 183日を越える
- ベトナムの会計制度を利用している
その他の税制度
ベトナムの基本の税金は上記の4つですが、以下はベトナムならではの独特の税制です。どのような税制度なのかを簡単に説明していきます。
特別消費税
特別消費税は特定の商品やサービスを購入した時に課せられる消費税です。主に嗜好品や贅沢品となるため、上記に紹介した 5〜10%の通常の付加価値税の税率よりずっと高くなります。一例を以下にご紹介します。
商品名 | 税率 |
タバコ | 75% |
アルコール( 20度以上) | 65% |
アルコール( 20度未満) | 35% |
ビール | 60% |
自動車(ガソリン) | 35〜 150% |
自動車(ハイブリッド 、バイオエネルギー) | 上記税率の 50〜 70% |
自動車(電気) | 5〜10% |
トランプ | 40% |
ディスコ | 40% |
マッサージ | 30% |
カラオケ | 30% |
カジノ | 35% |
ゴルフ | 20% |
宝くじ | 15% |
天然資源税
ベトナムが指定している特定の天然素材の開発には、天然資源税が課されます。具体的には、石油、鉱物、森林資源、水産物、天然水などが対象となっています。
なおベトナムが国の発展のために重要なプロジェクトであると位置付けた場合には、税の優遇措置などがあります。
非農地使用税
ベトナムにおいては土地は公共の財産であり、個人で所有することはできません。全ての国民を代表する国が土地を管理しており、土地使用者に対しては国が土地の使用権を公布しています。
その土地の使用においてそれぞれ税金がかかってきます。それが非農地使用税という税金の制度です。具体的には下記の土地の使用権を持っている個人もしくは法人に対して課税されます。
- 農村、都市部における宅地
- 工業、商業用の非農地
- 事業で利用する非農地
環境保護税
ベトナムは発展の渦中にある国ですが、環境保護にもきちんと国レベルで向き合っています。そのため環境保護対策として、下記の物資には別途課税がされることになっています。
- ガソリン
- 飛行機の燃料
- 石炭
- ビニール袋
- 使用制限付き除草剤
- 使用制限付き殺ヤモリ剤
など
生活に関係するベトナムでの税率は?
ではここからはベトナムで生活する際により関わりの大きいベトナムの税制度について、詳しく確認していきます。
付加価値税(VAT)とはどんな税制?
ベトナムの消費税にあたる付加価値税は、ベトナムで生活していく上で一番関わりのある税制度です。
日本のようにほぼ全ての商品や、サービスが同一の税率ではなく、ベトナムでは生活必需品や、嗜好品、医療、教育などその品目によって税率が異なります。
この品目による税率は頻繁に変わるため、ベトナムで買い物をしたりサービスを受ける時の税金は基本10%、一部の品目が5%と覚えておけば良いでしょう。
また内税、外税表記もとくに決まっておらず店によってまちまちです。そのため最終金額は表示金額が内税なのか外税表記なのかによって変わることがあるので、注意しましょう。
ベトナムの消費税は10%、5%が基本
ベトナムの消費税=付加価値税の基本の税率は10%ですが、一部の品目やサービスが 5%です。基本的にはより生活に密着した生活必需品が5%、より嗜好品に近いものが10%というイメージです。
5%の税率の物品やサービスの一部をご紹介します。
- 水
- 未加工または半加工の農水産物
- 生鮮食品
- 砂糖
- 医療用器具
- 幼児用玩具
- 手芸品
- 芸術文化、スポーツ活動
など
上記の 5%の税率に指定されているもの以外が、10%の付加価値税となります。
付加価値税(VAT)が適用されない物とは?
実は付加価値税が免除されている品目やサービスもあります。以下が付加価値税が免税となっている品目の一部です。
- 天然海塩、岩塩、食塩
- 未加工または半加工の農水産物
- 医療、獣医、介護サービス
- 郵政、通信事業
- 公衆衛生、公共交通、管理、葬儀サービス
- 国営ラジオ、テレビ放送
- 公共交通機関
- 国内で生産できない輸入品
- 武器、軍事機材
- 人道支援のための輸入品
など
本当に生活に必要なものは、 5%の課税もなく免税となっています。
税込み?税抜き?など買い物で使えるベトナム語フレーズ
ベトナムで買い物や、レストランなどで食事をした時に使える、価格を尋ねたり税込み、税抜きを確認するフレーズをご紹介します。
◾️ Bao nhiêu tiền?(バオニュー ティエン?) / いくらですか?
◾️Tính tiền(ティン ティエン) / レストランなどで「お会計お願いします』
◾️ Vui lòng thanh toán(ヴイ ロン タイン トアン) / お会計をお願いします(より丁寧な言い方)
◾️ Có bao gồm thuế?(コー バオ ゴム トゥエ?) / 税込みですか?
◾️ Có phải là không có thuế?(コー ファイ ラー コン コー トゥエ?) / 税抜きですか?
ベトナムでは個人の所得税はどうなっている?
ベトナムで生活する上で関わってくる税金制度で、付加価値税の次に重要なのが個人所得税ではないでしょうか。もしベトナムで就労して給与を得るのであれば、所得税がかかってきます。
ベトナムの個人所得税の制度を詳しくみていきましょう。
ベトナムで個人所得税の納税義務の条件とは?
所得といっても、働いたことに対する給与だけではなく、投資や相続、贈与などの所得も含まれます。
ベトナムの個人所得税は、ベトナムの居住者であるか非居住者であるかによってその範囲が変わってくるため注意しなければなりません。具体的には課税の範囲は次のようになっています。
ベトナム居住者:全世界で得た所得が課税対象
ベトナム非居住者:ベトナム国内が源泉の所得が発生した場合は課税対象
ベトナムと日本は日越二重課税防止協定を結んでいるため、ベトナム居住者であっても、日本で得た所得を日本でも課税されるということはありません。
居住者と非居住者の違い
上記のように個人所得税はベトナムでの居住者なのか、非居住者とみなされるかによって課税の範囲が変わってきます。では居住者と非居住者の違いとはどのようなことになるのかを、確認しましょう。
居住者の定義
下記のいずれかに該当する人が居住者となり、該当しない人が非居住者となります。
- 暦年のうちベトナム国内に183日以上滞在、もしくは連続した12ヶ月のうちベトナム国内に183日以上滞在いている人
- 恒久的な住居(レジデンスカードに記載された住居)がある人
- 183日以上の賃貸契約の住居がある人
所得税の税率は0.5%〜35%まで
所得税のうち、居住者の給与所得に対する所得税の課税比率は所得の額に応じた累進課税となり、5%〜35%の範囲となります。非居住者に対しては一律 20%となります。
また給与所得以外の事業所得、投資所得、証券譲渡益、ロイヤリティー所得、相続、贈与などからの所得はそれぞれ 0.5%〜20%となり、居住者、非居住者によって税率が異なるものもあります。
所得に対する一部の税率を表にまとめてみました。
所得の種類 | 居住者 | 非居住者 |
給与所得 | 5%〜35% | 20% |
事業所得 | 0.5%〜5% | 物品販売: 1%
サービス: 5% その他: 2% |
投資所得 | 利益に対して5% | 利益に対して5% |
証券譲渡益 | 取引額に対して 0.1% | 取引額に対して 0.1% |
資本譲渡益 | 利益に対して20% | 取引額に対して 0.1% |
ロイヤリティー所得 | 1,000万ドンを超えた額に対して10% | 1,000万ドンを超えた額に対して10% |
相続 | 1,000万ドンを超えた額に対して10% | 1,000万ドンを超えた額に対して10% |
贈与 | 1,000万ドンを超えた額に対して10% | 1,000万ドンを超えた額に対して10% |
まとめ
ベトナムの税制は一見色々あるように見えますが、旅行に行ったり働いて暮らす分には日本の消費税にあたる付加価値税と、個人所得税の2種類が主に関わる税金です。
日本との違いは消費税が一律ではないところです。10%が基本ですが品目によって5%や免税されているものもあります。所得税に関しては居住者、非居住者によって範囲が変わってくるところも日本との違いです。
この他酒やタバコなどが関わる特別消費税は日本の税制にも少し近いところがあるかもしれません。
環境保護税は、ベトナムの国としての環境保護に真摯に向き合っている姿勢が感じられる税制度です。
ベトナムでは内税、外税表記が定まっていないため、最終的な支払額が表記の方法によって変わってくることが多々あります。買い物やサービスを受ける時には、ご紹介したフレーズを使いながら、最終支払い金額をきちんと確認するようにしましょう。
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