ベトナム語はたとえ動詞でも、1つの単語が変化することがないので、その分たくさんの単語を覚えなければなりません。また、同じスペルなのに声調や発音の違いで意味の違う単語がたくさんあるため、覚えるのが本当に大変です。
声調と発音の違いで意味の違いを認識するベトナム語において、正しい発音をすること、正しい記号を書くことはとても重要です。
本記事ではベトナム語の第一関門である声調や発音、コツを知ると楽しくなるベトナム語の単語の覚え方について説明していきます。ベトナム語を学習する前にぜひ読んでみてくださいね。
ここでつまずく人多し。難易度高!ベトナム語の単語の発音とは
ベトナム語の最重要課題は発音です。これを事前に理解しないと学習を進めるうちに挫折感が強くなってしまいます。まずはベトナム語の発音についての知識を持ちましょう。
ベトナム語は発音が大事
ベトナム語の勉強で何が難しいかと言えば、真っ先に上がってくるのが「発音」だと言えるでしょう。ベトナム語を習い始めて最初のうちは楽しいのですが、段々とその発音の難しさに気づき、大体の人は初級のうちに挫折して辞めていってしまいます。
ベトナムに旅行に行ったり長期滞在をするとしても、日常生活に必要な最低限のフレーズさえ知っていれば暮らしていけるので、実はそれ以上学ぶ必要もありません。でもせっかくベトナム語を勉強し始めたのであれば、ベトナム人の友達ができてベトナム語で深く話せるくらいになるまで、諦めずに頑張ってみませんか?ベトナム語は勉強のコツを掴んでコツコツ続ければ、モノにできるはずです。
6種類の声調がある
ベトナム語には 6種類の声調があります。声調といえば中国語を思い浮かべるかもしれませんが、ベトナム語にもあります。同じアルファベットの綴りでも、上がる、下がる、などの 6つの声調の違いで、言葉の意味が全く変わってきてしまうのです。これがベトナム語のややこしいところの一つです。
では 6種類の声調がどのようなものなのか、次の項目で見ていきましょう。
アルファベットについている印は何?【声調編】
ベトナム語の単語の一つ一つについている記号の中で、ベトナム語の声調が表されているものがあります。この声調の記号と発音の仕方さえ知れば、書かれているアルファベットのイントネーションやリズムが正確に理解できます。日本語で言えば全ての漢字に読み仮名がついているようなイメージでしょうか。ベトナム語の表記は実はとても親切なのです。
6種類の声調を表す記号はこちらです。
声調の記号 | 読み方 | ポイントとなるイメージ |
a | アー | フラットなアー、少し伸ばす |
á | アー⤴️ | ゆっくり最後が上がる |
à | アー | 下げるのではなく、最初から低い。後ろにくる文字より低く発音するイメージ |
ả | ア〜ア | 行って戻る感じ
クエッションマークの上の部分が声調の記号だが、まさにそのイメージの声調 |
ã | アアッ⤴️ | 短く切って上げる、伸ばさない |
ạ | アッ | 短く切る |
カタカナとポイントとなるイメージではなかなか伝わりにくいかもしれません。でも声調の記号はどのように声調するかのイメージそのものなので、分かりやすい記号になっています。
発音が違うと通じない?
ベトナム語は声調と母音の発音の違いで、同じスペルでも全く異なる意味を持った言葉がたくさんあります。会話の中では発音の違いを耳で聞き分け、ライティングでは発音記号や声調記号で、目で見て違いを理解します。
ベトナム人にとって発音の違いは、意味の違いとなってしまうため、伝えたいことが伝わらない、間違って伝わるという重大な事象を引き起こしてしまいます。
ベトナム語の中で最も大切な発音に対して、ベトナム人はとてもシビアです。発音が違うと、通じないというのは残念ながら本当のことなのです。
正しく発音しても通じないのはなぜ?
発音記号通りに発音しているにも関わらず、ベトナム人に全くもって通じないということが時々起こります。これはどういうことなのでしょうか。
実はベトナム人はベトナム語を話す外国人に慣れていないのです。まず「日本人がベトナム語を話す」という概念がありません。そこに不慣れなベトナム語で話し始めても、相手はこちらがベトナム語を話しているという基本的な情報が欠如しているので、全く通じません。
日本で外国の人がいきなり訛りのある日本語で話しかけてきても、何語を話しているのか最初全然わからなかった、という経験がないでしょうか。それと同じような現象が起きていると考えましょう。
こちらがベトナム語を話す外国人だ、と認識してもらえれば、拙いベトナム語でも一生懸命理解してくれようとしてくれるので、安心してくださいね。
同じスペルなのに意味が違う単語がたくさん!
ベトナム語では、同じスペルの言葉を声調や発音記号の違いで使い分けています。例えば、こちらの例をみてください。
同じ「ban」のスペルですが、声調と発音記号の違いで、こんなにも意味があります。
単語 | 読み方 | 意味 |
bạn | バンッ(弾けるような感じで) | 友達 |
bàn | バーン(後ろの言葉より低く) | 机 |
bán | バーン⤴️(伸ばして語尾を上げる) | 売る |
bản | バアン(行って戻る感じ) | 版、日本(Nhật Bản) |
bận | バンッ(こもったバ&弾けるような感じ) | 忙しい |
bẩn | バアン(こもったバ&行って戻る感じ) | 汚い |
ban | バーン | 班、禁止 |
このように、スペルが同じでも声調や発音記号によって違う意味がたくさん出てくるので、とてもややこしいと感じてしまうかもしれません。よって、ベトナム語の単語を覚えるときは、声調や発音記号を一緒に覚えてしまわないと、意味がないのです。
ベトナム語の単語を覚えるのが楽しい理由
ベトナム語の難しいところにばかり注目してしまいました。でも実はベトナム語の単語を覚えるのは日本人にとって、とても楽しいこともあるのです。
複雑な歴史を辿ってきたベトナム語のルーツは様々ですが、中国語の影響を大きく受けていることは確かです。日本語と同じルーツを持っているのです!少し親近感を抱いていただけたでしょうか。
では、ベトナム語を勉強するのが楽しくなる理由をそれぞれ見ていきましょう。
日本語に似たベトナム語の単語がたくさん!
ベトナム語には日本語に似た言葉がたくさん出てきます。ベトナム語を勉強していて嬉しくなるのは、日本語とほぼ同じ意味で、同じような発音の言葉と出会った時です。
これは英語や他のラテン系などの言語を学んでいても決して味わえない、同じアジアの国の言葉を学ぶ醍醐味であると言えるでしょう。
ベトナム語の単語の6~7割は漢字で書ける?
ベトナム語の単語の6割〜7割は漢字で表記できると言われています。これらの漢字が起源となっているベトナム語を「漢越語」と呼びます。
たくさんある漢越語の一部を紹介します。
ベトナム語 | 読み方 | 漢字と意味(追加の意味) |
chú ý | チュー イー | 注意 |
lưu ý | ルウ イー | 留意 |
chuẩn bị | チュアン ビ | 準備 |
quốc ca | クオック カー | 国歌 |
kiểm tra | キエム チャー | 検査 |
đại sứ quán | ダイ スー クアン | 大使館 |
kết hôn | ケッ ホン | 結婚 |
đại học | ダイ ホック | 大学 |
cơm | コム | 米(ご飯) |
ca sĩ | カー シイ | 歌手 |
bác sĩ | バック シイ | 博士(医師) |
sai | サイ | 差異(違う) |
thiên nhiên | ティエン ニエン | 天然(自然) |
まだまだたくさんあります。意味も読み方も漢字由来なので、日本語と似ています。もちろんベトナム語オリジナルのものも多いのですが、新しい単語が出てきたらもしかして漢字由来では?と想像してみると、一致する場合があります。漢字由来だと、ベトナム語もとっても覚えやすいですよね。
同じスペルで違う発音の単語の覚え方は?
同じスペルなのに声調と発音記号が違い、意味もう違う場合、どっちがどっちだったかわからなくなることが頻発します。スペルと声調、発音記号を丸ごと覚えるしかないのですが、覚え方の助けになるかもしれないコツを伝授します。
よく使う文脈と流れで覚える
単語は出てくる文脈とセットになっていることが多いですよね。フレーズのイントネーションごと覚えてしまうと、単語ごとの声調を考えなくても大丈夫です。
イメージで覚える
ものを覚える時には、映像も一緒にイメージで覚えると良いと言われています。ベトナム語の声調がわからなくなりそうなときは、声調とその物のイメージを合体させて覚える方法もあります。
書いて覚える
一番おすすめは、書いて覚えることです。会話で何とかなっていても、いざ書こうととすると、記憶があやふやなことに気づくことがあるしょう。参考書で勉強しているのであれば、目で確認するだけでなく必ず自力で書いてみるようにしましょう。
書きながら声調の記号がなんだったか、発音の記号がどこにつくのかを覚えることができます。今はパソコンでもベトナム語が打てます。パソコンでベトナム語を打ちながら、ぼんやりとした記憶を定着していくことができるでしょう。
単語力でベトナム語力がアップする理由
ベトナム語は日本語や英語のように動詞の活用がないので 1つの単語が変化していくことがありません。例えば過去時制や未来時制にするために、新たな単語が必要です。文法には一定のルールがあるものの、会話では省かれたり、フレキシブルだったりするので、文法は基本を知っていれば何とかなります。それよりも何よりもベトナム語では単語力が求められます。
単語と発音を丸ごと覚えなければならないベトナム語ですが、漢越語を探しながら、コツコツ楽しんで覚えていきましょう。単語力で会話力がぐっとアップします。
ベトナム語の単語を覚えるためのおすすめアプリは?
ベトナム語はベトナムでベトナム人のみが話す言葉です。近年日本に住むベトナム人が増えて、ベトナム語の需要は高まっていますが、参考書や学校などはまだまだ少ない状態です。
今すぐ、そしてコツコツベトナム語の勉強を始めたい人に、オススメのアプリを紹介します。
自宅や通勤通学時間などの隙間時間に手軽に勉強ができます。
Mondly(モンドリー)
ベトナム語のみならず世界 33ヶ国語が同時に学べるアプリです。毎日の5分程度の学習と、週末や月末にまとめの学習があり、復讐のシステムも整っています。
シチュエーションごとの会話や単語、選択問題やライティングもあるので、コツコツ長く続ければ、相当数の単語が覚えられるでしょう。
nemo ベトナム語
こちらも世界 36ヶ国語に対応している語学学習アプリです。簡単な日常会話を毎日少しずつネイティブの発音とともに覚えることができます。ベトナム語を初めてみたいというビギナーにおすすめです。
自分の声を録音して発音をチェックできる機能がついているのは、発音が命のベトナム語学習に心強いですね。
1日5分でベトナム語学習!みんなで覚えるベトナム語!
こちらはまさに単語帳を共有できて、みんなでベトナム語を勉強できるという楽しいアプリです。ベトナム語学習者が新たに覚えた単語を解決した疑問をシェアしながら、一緒に勉強しているような気分になります。
自分では使ったことがない単語や、知らないカテゴリーの単語などの知識もどんどん取りれられます。自分のオリジナルの単語帳を作って積極的に活用してみましょう。
指さし会話ベトナム touch & talk
こちらは書籍の参考書、指さし会話ベトナム語、ベトナム語単語集、がそのままアプリになったものです。
ベトナム語会話や単語だけでなく、ベトナムの情報が満載の書籍もアプリとしていられるので、ベトナム旅行前に丸ごとガイドブック代わりに入れてしまっても良いかもしれません。
【番外編】 ベトナム総合情報サイト VIET JOのオンライン辞書
ベトナムに住んでいる日本人ならほとんどが知っている、ベトナムの情報総合サイト「VIET JO」のサイト内にある、越日・日越辞典がとても使えるので紹介します。
ベトナム語の単語を調べたいのに、声調や発音記号がどうなっていたか思い出せない時に、スペルだけを入れても調べられるのです。そのスペルに該当する候補を全てあげて、それぞれの日本語の意味まで教えてくれる、とっても便利なオンライン辞書です。
リアルタイムで他の人が調べている単語などもわかるので、新たな発見にもつながるかもしれません。単語を覚えるためのサイトではありませんが、ベトナム語の単語を調べる時にはぜひ活用してみましょう!
まとめ
ベトナム語は習得するのが難しい言語と言われています。多くの人がベトナム語を勉強しますが、初級のうちに挫折してしまいます。その理由の一つが声調と母音の発音の違いをきちんと表現しなければならない難しさです。日本語にはない緻密な発音の違いを表現し、聞き取るベトナム人の人たちって、すごいですよね!
さらに追い討ちをかけるのは、同じスペルなのに声調や発音記号を変化させることによって、たくさんの意味の違う単語を生み出しているところ。覚えるのが一苦労です。
でもベトナム語を勉強する際にどこが難しくて、何をポイントに勉強すれば良いのかを初めから分かっていると、気が楽ですよね。ベトナム語を始める前から、発音の難しさ、単語力の重要さを理解していれば、後から知って挫折することもないでしょう。
本記事で日本語との縁も少し感じていただけたのではないでしょうか。ぜひアジアの同じ言語のルーツを持つ言葉として、楽しんで学習していただければと思います。
ベトナム単語短期習得プログラム
脳科学に基づいたイラストやリズムをつかったビデオで、計2,000以上の単語を短期で無理なく覚えることのできるプログラムです。
定番の単語から、あったらいいな!というベトナム語単語特集までぞくぞく新しいビデオ制作中です。
まずは「野菜」と「よく使う形容詞」の2つを無料公開中ですので、ぜひ御覧ください。