「来てくれてありがとう」「歓迎」などの意味を持つ「ようこそ」。感謝や期待などの意味を含んでおり、日本語で「ようこそ」と言うのはもちろん、英語でも「Welcome」と気軽に使用しますよね。
日本語や英語では、友人に対しても目上の方に対しても、或はホテルやレストランでも「ようこそ」と言います。どうやらベトナム語には日本語の「ようこそ」や英語の「Welcome」に対応する表現が存在しないようなのです。
なぜベトナム語にはそのような表現が存在しないのでしょうか。そして、ベトナム語で「ようこそ」と表現したい場合に、私たちはどのように表現すれば良いのでしょうか?
ベトナム語には「ようこそ」と直訳できる言葉がない
実はベトナム語には、「ようこそ」と一意に訳される言葉がありません。 では歓迎を表すにはどのような言葉を用いれば良いのでしょうか。
それは「こんにちは」を用いることになります。ベトナム語では「こんにちは」を表す言葉の補助的な意味として「ようこそ」のニュアンスが含まれることになります。そのため、「こんにちは」を使っていくことで「ようこそ」という意味を表すことができるのです。
さて、ここで疑問が浮かびますね。一体なぜベトナム語には「ようこそ」と直訳できる言葉が存在しないのでしょうか?
ベトナム人は歓迎をあまり表現しない
理由の一つとして、ベトナムでは歓迎するという概念がありません。日本ではお店の前に「ようこそ」を表す札がかかっていたり、部屋のドアに「Welcome」の札をかけている光景を目にします。
ところがベトナムでは、そのような文化はありませんし、ベトナムではそのような札を見かけることはありません。ホテルやレストランなどのお店でも、「ようこそ」と言う表示がされている場所は少ないように感じます。
そのためベトナム人にとってはあまり歓迎という概念がありません。ゆえにベトナムでは、「ようこそ」と表現する機会が少ないため、「ようこそ」と直接的に表現する言葉がないのです。
ほとんどのベトナム人が英語を理解している
もう一つの理由として、ベトナム人のほとんどが英語を理解していると言う事実が挙げられます。学校教育でも盛んな英語教育が行われているベトナムでは、ほとんど人が英語を話すことができます。
また、簡単な挨拶文ならばほぼ全員の人が英語を知っています。そのため、わざわざベトナム語で「ようこそ」を伝えなくても、英語で「Welcome」と言えばほとんどのベトナム人に気持ちが伝わるのです。
日本でも和製英語のように、普段から英語の言葉を使う場面がありますよね。ベトナムでも、歓迎を表す際にむしろ英語で「Welcome」と伝える機会が多いのです。そのため、わざわざベトナム語で直接的に「ようこそ」という言葉を使用する必要がありません。
ベトナム語で「ようこそ」を言いたい!
ベトナムでは「ようこそ」と言う気持ちをあまり表現しないこと、そしてほとんどのベトナム人に英語が通じること述べてきました。それでもベトナムの友人などを迎えるにあたって、せっかくならばベトナムの言葉で「ようこそ」と伝えたい時もありますよね。
ベトナム語で「ようこそ」と伝えたい場合はどのようにして言えば良いのでしょうか?具体的な「ようこそ」の言い方と、どのような場合に言えば良いのかという使い方を説明します。
飛行機のアナウンスでよく聞く「ようこそ」
Kính Chào Quý Khách.
この言葉は私たちが飛行機に乗った時に、空港内や機内のアナウンスでよく聞くベトナム語での「ようこそ」です。
「Quý Khách」には「お客様」と言う意味を持つので、この文章を直訳すると「ようこそお客様」となります。もちろんこの「Quý Khách」という部分を歓迎する人の名前に言い換えれば「ようこそ〜〜さん」と言うことができます。
ただしこの表現は空港内や高級なレストランなどで使用される言葉です。あなたが友人に対してカジュアルに「ようこそ」と伝えたいのであれば、この表現では堅苦しすぎると言えるでしょう。
ホテルやレストランでの「ようこそ」
Chào mừng quý khách.
こちらの表現も直訳すると「ようこそお客様」となります。この言葉は主にビジネスホテルやレストラン、カフェなどのお店で使用されることが多いです。ショッピングセンターや雑貨屋さんなどのお店に入った時の「いらっしゃいませ」もこの表現が使用されることが多いです。
こちらは先ほどの「Kính Chào Quý Khách.」という表現と比較すると、ややカジュアルに使用することができます。それでも友人に対して使用するにはやはり堅苦しい表現となってしまうでしょう。権力を持つ方であったり、職場での役職が上の方であったり、目上の先生などに対しては違和感なく使用することができます。
熱烈に歓迎する時の「ようこそ」
nhiệt liệt đón.
こちらはゲストや友人を熱く歓迎する時に用いられる言葉です。直訳すると「大歓迎する」という意味になります。
「nhiệt liệt」には「熱烈に」という意味が含まれており、この単語に「こんにちは」などの挨拶の意味を持つ「đón」を組み合わせたのがこの表現です。待ちに待った友人との出会いを果たした場合や、感動の再会を果たした場合などにこの表現を使用することができるでしょう。
友人相手に気軽に使用する「ようこそ」
Hân hạnh đón.
こちらの表現が今まで紹介した中で一番カジュアルな表現の「ようこそ」を表します。「嬉しい」という気持ちを表す「Hân hạnh」と、挨拶を意味する「đón」という単語の組み合わせです。直訳すると、「出会えて嬉しい」となります。
先ほど紹介した「nhiệt liệt đón.」と比較すると熱烈度では劣りますが、友人に対して気軽に使用することができる表現です。この文章の後に歓迎したい人の名前を加えれば、十分に歓迎の気持ちを表すことができます。したがって友人や知人を歓迎したい場合などに気軽に使用でき、最も無難で使い勝手の良い表現ということができます。
まとめ
ここまででベトナム語での「ようこそ」について述べていきましたが、いかがでしたでしょうか?
ベトナム語には「ようこそ」と直訳することができる言葉が存在しない代わりに、様々な「ようこそ」の表現方法があります。気持ちや感情を表す単語と挨拶を表す単語を組み合わせることによって「ようこそ」という歓迎の気持ちが表現できるなんて、ベトナム語は非常に興味深いですよね。
この記事を読むことで、あなたも様々な「ようこそ」を知ることができたと思います。英語で「Welcom」と歓迎するのももちろん良いのですが、この機会にベトナム語で「ようこそ」と伝えてみてほしいなと思います。相手の立場やその場の状況、使用する目的によって「ようこそ」という表現を使い分けてみてくださいね。
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