治安が良くないというイメージが大きい東南アジアにおいて、ベトナムは治安が良い方の国の一つであると言われています。
政治的に安定もしているので、テロが起きる心配というのも今のところはなさそうです。
ベトナムで日本人が被害にあうのは圧倒的にスリや置き引き、ぼったくりなどの軽犯罪が中心です。
ベトナムでの治安の良し悪し、具体的な犯罪の内容、犯罪に巻き込まれないための方法などを紹介していきます。
ベトナムは比較的治安の良い国
ベトナムは世界中やアジアの中でも、比較的治安の良い国であると言われていますが、実態はどうなのでしょうか。世界やアジアの基準でみるベトナムの治安について検証していきます。
外務省の海外安全情報
日本の外務省では、海外の最新の安全情報を公式ホームページでアップしています。それによると、現状ベトナムの危険情報はとくに発信されていません。しかし注意しなければならないのは、外務省が発表するのはテロなどの重大な危険情報が中心であるということです。
実は現地の大使館や総領事館からはベトナム国内に住む日本人向けに、より細かいベトナムの安全情報を随時発信しています。それによれば近年では日本人が被害者のひったくりなどの発生、及び注意喚起が頻繁に出されています。
この細かい現地の安全情報も外務省の安全情報のページでみられるため、渡航前に必ずチェックするようにしましょう。
東南アジアでの治安の良さはナンバー3
東南アジアの国々は、治安があまりよくないイメージが大きいのではないでしょうか。実際は東南アジアの国々の治安は、良いところと悪いところの差が激しく、きっぱり分かれています。
そんな中ベトナムはシンガポール、ブルネイについで治安の良さが3位です。
ちなみに最下位はフィリピンです。フィリピンにはスラム街もあり、殺人事件や強盗などの凶悪な事件が発生しています。フィリピンでは外務省の海外安全情報でもレベル1(十分注意)からレベル3(渡航中止勧告)まですべての地域で出ています。
世界の治安ランキングは57位
オーストラリアの研究所によれば、「世界で最も治安の良い国ランキング2019」でベトナムは57位となっています。
ちなみに1位はアイスランド、2位がニュージーランド、3位はポルトガルでした。日本は世界9位となっています。
57位というとそんなにも高くない感じはしますが、ステータスとしては「Peace」となっています。比較的治安が良いということは事実だと言えるでしょう。
経済発展とともに、治安は徐々に悪くなる傾向に
ベトナムの治安は経済発展とともに悪化傾向にあります。これは経済発展に伴う副作用であると言えるのかもしれません。実際ベトナムでは、経済が発展しているホーチミンの方が、ハノイに比べて治安が悪いと言われています。
ベトナムで発生する主な犯罪とは
ベトナムでは重大で凶悪な事件が発生するというよりも、軽犯罪が多発する傾向にあります。具体的にどのような犯罪がベトナムで起きているのかを、確認しておきましょう。
スリや置き引き、引ったくり
ベトナムで最も発生しているのが、スリや置き引き、引ったくりなどの被害です。スリは観光地やナイトマーケット、人が多い場所で観光客などの外国人を狙った犯罪が頻繁に起こっています。
財布はもちろん狙われるのですが、スマホが狙われることも多くあります。スマホはベトナム人にとってはまだまだ高額で、月収の何倍もするものがほとんどです。人ごみの中ですられてしまったり、置き引きにあったりなどはよくある話しです。
日本のように、バッグを置いて席を取ったり、落としたものが返ってくるようなことはまず考えてはいけません。貴重品は肌身離さず、所持品の管理はきちんと行いましょう。
ぼったくり
ベトナムで発生する犯罪の中で代表的なものにぼったくりもあります。
例えば観光客向けの露店で、法外な値段の食べ物や土産物を売りつけられたりすることがあります。ベトナムの物価はもともと安いので、法外といっても気が付かないこともあるくらいの値段かもしれません。しかし渡航する前に、現地の物価の目安を必ず把握しておくようにしましょう。大した金額じゃなかったとしても、騙されるということは気分の良いものではないでしょう。
また観光地では行商の天秤を無理やり持たせて、高額な撮影料を取ったりするような人たちもいるため、注意が必要です。
ぼったくりの中で注意したいのがタクシーです。ベトナムでは公共交通機関が少なく、人々の足は主にバイクとなります。しかし観光客などの外国人はバイクを持っていないため、どうしてもタクシーやGRABなどの配車システムが交通手段となります。
特に空港や観光地ではメーター制ではなく、その場所までいくらというような交渉制のぼったくりタクシーが多発しています。
またこれは住んでいないと分かりにくいのですが、メータータクシーなのにメーターが上がる速度が異常に速いぼったくりタクシーも存在します。
現地に詳しい人やネットなどで、タクシーの料金の目安も必ず把握してから渡航するようにしましょう。観光客で客引きをしているタクシーは、100%あやしいと考えてまず間違いありません。
違法薬物
ベトナムでも近年違法薬物が売買されています。バックパッカーが集まる場所や繁華街などで薬物を売るために話しかけてくるような人がいるので、無視するか毅然とした態度で断りましょう。
最近では子供がラムネと間違えてしまいそうな、カラフルでカジュアルなドラッグも流通しており、ベトナム国内で注意喚起がなされています。旅行中だからと気軽な気持ちで手を出すのは絶対にやめましょう。
近年日本人を狙った犯罪が散見されている
ハノイやホーチミンなどの大都市では、小さいながらも日本人街があります。近年そのような日本人が集まる場所で、日本人を狙ったスリやひったくりが散見されています。
具体的な例をあげると、ベトナム人の女性が執拗に絡んできて財布や携帯などを盗み、共犯者のバイクで逃走する、というような事件が発生しています。
とくにお酒を飲んだ後は注意力が散漫になることがあります。そのような場所で深夜歩きまわるようなことは極力避けましょう。
ベトナムが比較的治安が良いと言える理由
ベトナムが比較的治安が良いと言われている具体的な理由をあげていきます。
タクシーに一人で乗れる
ベトナムでの外国人の足は主にタクシーや、GRABのような配車システムとなります。タクシーや配車システムは密室に二人きりになる可能性があるのですが、一人で乗っていても身の危険を感じることはほとんどありません。
ただしタクシーによってはぼったくられて、高額な料金を請求されるということはあるかもしれません。しかし日本人がタクシー内で命を狙われるというような凶悪事件は、これまでのところ聞いたことはありません。
もちろん絶対に安全ということはありません。とくに深夜などに一人でタクシーに乗るなどの危険な行動は避けるようにしましょう。
女性が夜一人で歩ける
女性が夜一人で歩くことは基本的には避けたほうがいいのは大前提です。しかしベトナムの繁華街は夜遅くまでにぎやかなので、女性が一人で歩いていても怖いという思いはあまりしません。
ただ一歩路地裏に入れば、そこはローカルのベトナム人しか通らず車も来ない、人気も少ない細い道ばかりです。
場所によっては夜に女性が一人で歩くことはできますが、できるだけそのようなことはやめておくことをおすすめします。
ATMや自動販売機が外にある
犯罪の多い国ではありえないことですが、ベトナムではATMやジュースなどの販売機が屋外に設置してあります。屋外に現金が入っているATMや自販機があるとそれごと持っていかれる国もあります。それらのマシンが外においてあるということは、ベトナムが治安の比較的良いということの証明といえるでしょう。
犯罪が起きる場所が集中している
日本人であれば日本人向けの飲み屋さんが集中しているところであったり、観光客が多い場所、人が多く集まるところなど、ベトナムでは犯罪が起きる場所が比較的集中しています。そのような場所に行くときはとくに、犯罪にあう可能性を踏まえ、気を引き締めて行動するようにしましょう。
ベトナム人は真面目で優しい人が多い
これは治安が良いことの直接的な理由にはなりません。しかしベトナム人は基本的に真面目で心が優しい人が多いので、間違っていることを指摘したり、強い態度に出ると諦めてくれる場合もあります。
観光客や外国人だからといって騙そうとする人もいるかもしれませんが、毅然とした態度で対応するようにしましょう。
ベトナムで犯罪にあわないために気を付けること
ベトナムでは凶悪な殺人事件などではなく、スリや引ったくりなどの軽犯罪が多発しています。旅行や出張などでベトナムに行くと、ついつい浮かれてしまうこともあるかもしれません。しかしこちらが注意をしておけば防げることも多くあります。犯罪にあわないために気を付けることをあげていきます。
ぼったくりのタクシーに注意
ベトナムに着いてまず空港にいるのが、ぼったくりのタクシーです。ぼったくりのタクシーに乗らないための注意事項は下記のとおりです。
- しつこい客引きをするタクシーに乗らない
- メータータクシーかどうか確認する。交渉制のタクシーには乗らない
- 有名なタクシーに乗る(ハノイ:Taxi Group、G7 Taxi、Mailinhなど ホーチミン:Mailinh、Vinasunなど)
- 空港への送迎はホテルに頼む
慣れてくればGRABなどの配車システムが低料金なうえに安全です。でも初めての渡航などの場合は少し難易度が高いかもしれません。
料金は高くなりますが、安全面を考えればホテルに送迎を頼むことが、安心度が高いのでおすすめです。もしくは都市部の主要な場所であれば、バスで行くことも検討してみましょう。かなり低料金で目的地まで行くことができます。
日本人街、繁華街ではとくに気を付ける
近年では日本人を狙ったと思われれる日本人街での引ったくりが多く発生しており、現地の日本大使館や総領事館が頻繁に注意喚起をしています。
とくに繁華街や観光客が多い場所では、より一層気を引き締めましょう。財布はもちろんのこと、パスポートやスマホが狙われています。
ベトナムではバイクが人々の足となっており、細い道でもバイクで近づいてきてバッグをひったくったり、スリの共犯者がバイクで助けたりと、バイクを使って逃げ足が早いことも特徴です。
お金のやり取りに注意する
ベトナムのお金は現在すべて紙幣です。紙幣の中には価値が異なるにもかかわらず、色などで見た目が非常に似通っているものがあります。例えば2万ドン札と50万ドン札はそれぞれ日本円で100円、2,500円と価値が異なりますが、同じ水色の紙幣のため、ごまかされることがあります。
タクシーなどでの暗い場所でのお金のやり取り、銀行以外での両替場所での紙幣のすり替えなどが注意すべきポイントです。
困ったときに使えるベトナム語のフレーズ
何もないことに越したことはありませんが、万が一被害にあった際に使えるフレーズをいくつかご紹介します。
■ điện thoại thông minh của tôi bị mất cắp.(ディン トァイ ソン ミン クア トイ ビ マット カップ) / ◯◯を盗まれました
■ Tôi bị đánh lừa. (トイ ビ ダイン ルゥア) / 騙されました
■ Cửa hàng này bán đắt. (クゥア ハン ナイ バン ダッ) / ぼったくられました(この店は高く売りつけました)
■ móc túi(モック トゥイ) / すり
■ ăn trộmi(アン チョム) / 泥棒
■ giật đồ(ザット ドー) / ひったくり
犯罪にあってしまった場合は、大使館、総領事館、警察などに助けを求めるようにしましょう。
まとめ
ベトナムは東南アジアや世界中の治安の悪い国に比べれば、比較的治安が良いと言われている国のひとつです。
しかし経済発展とともに治安は悪化の一途をたどっています。しかも日本人を狙った日本人街での犯罪も最近は頻繁に発生しています。
今のところはベトナムで日本人が被害にあう犯罪は、軽犯罪が中心です。これらは不可抗力の場合もありますが、ほとんどは自分たちの注意次第で防げることです。
ベトナムへ渡航する前に、現地のある程度のものの物価を把握したり、タクシー代を想定しておいたり、法外な値段を請求されたときにすぐに気が付けるように知識を蓄えておきましょう。
治安が良いほうといっても、日本の治安の良さとは全く異なります。そこはあくまで外国なので、スリや引ったくり、置き引きは日常的に発生するものとして、所持品の管理には極力気を付けましょう。
旅行などで浮足立つことがあるかもしれませんが、ここは外国であるという緊張感を持って行動することが大切です。
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